PATTERN Cサンプル記事:初心者向け
最終確認日:2026.10.02(本文の法令・郵便サービス資料と照合した日)
入金がないとき、まずはこの3つ
はじめて催促する方は、ここだけ読んでから本文へ進んでください。
- 自社の記録を先に確認する請求書は届いているか、入金を見落としていないかを確かめます。
- 1回目は「確認のお願い」として送る相手の振込忘れのこともあります。責める書き方はしません。
- 返事がなければ、少しずつ具体的にする2回目は支払予定日を聞き、3回目は期限を伝えます。
この記事に出てくる言葉
- 支払期日(しはらいきじつ)
- 代金を支払う約束の日。「月末締め翌月末払い」なら、翌月の末日です。
- 消込(けしこみ)
- 入金があったときに、どの請求書の支払かを照らし合わせて「支払済み」にする経理の作業です。
- 催告(さいこく)
- 相手に支払を求めること。法律の言葉で、時効に関係します(7章で説明します)。
- 時効(じこう)
- 一定の期間、権利を使わずにいると、その権利がなくなるしくみです。
支払期日を過ぎても、取引先からお金が振り込まれない。はじめてこの状況になると、どう連絡すればよいか迷う方も多いと思います。この記事では、催促のメールを送る順番と書き方を、文例つきで説明します。
01入金がない。まず何を確認する?
催促する前に、自社の側に原因がないかを確かめます。送ったあとで自社のミスが見つかると、相手に失礼になってしまうからです。
- 請求書を送ったか、届いているか送った日、送り方(メール・郵送)、宛先の担当者を確認します。
- 金額と支払期日は合っているか請求書・契約書・注文書で、金額と支払日が同じかを見比べます。
- 入金を見落としていないか振込の名前が会社名と違う、ほかの請求とまとめて振り込まれた、振込手数料が引かれている、といった理由で見落とすことがあります。
- 相手の支払の日はいつか相手の会社が毎月何日に支払をしているか、請求書がその日に間に合ったかを確かめます。
- 延期の相談を受けていないか過去のメールや電話で、支払を待ってほしいと言われていないかを確認します。
02メールは何回、どう送る?
いきなり強い言葉で書くのではなく、3つの段階で少しずつ具体的にしていきます。
03そのまま使える文例3つ
〇〇の部分を、自社と取引の内容に合わせて書き換えてください。
1回目:入金の確認をお願いする
ねらい:相手のうっかりを想定して、確認をお願いする形にします。
〇〇株式会社
経理ご担当 〇〇様
いつもお世話になっております。〇〇株式会社の〇〇です。
〇月〇日付でお送りした請求書(請求書番号:〇〇、ご請求金額:〇〇円)につきまして、〇月〇日のお支払期日を過ぎた本日時点で、弊社でご入金を確認できておりません。
お手数ですが、お支払の状況をご確認いただけますでしょうか。請求書がお手元に届いていない場合は、再送いたしますのでお知らせください。
なお、本メールと行き違いでお支払いただいている場合は、ご容赦ください。
〇〇株式会社 〇〇部 〇〇
電話:〇〇 メール:〇〇
2回目:支払予定日を聞く
ねらい:前回連絡した日を書き、いつまでに返事がほしいかを伝えます。
〇〇株式会社
経理ご担当 〇〇様
お世話になっております。〇〇株式会社の〇〇です。
〇月〇日に、下記のご請求分のご入金についてご確認をお願いするメールをお送りしましたが、本日時点でご入金とご返信を確認できておりません。
・請求書番号:〇〇
・ご請求金額:〇〇円
・お支払期日:〇月〇日
お支払のご予定日を、〇月〇日までにご返信いただけますでしょうか。ご事情がおありの場合も、ご相談いただければ幸いです。
〇〇株式会社 〇〇部 〇〇
電話:〇〇 メール:〇〇
3回目:期限を伝える
ねらい:これまでの連絡の経緯と、支払の期限、期限を過ぎた場合に検討することを伝えます。
〇〇株式会社
代表取締役 〇〇様
〇〇株式会社の〇〇です。
下記のご請求分について、〇月〇日と〇月〇日にメールで、〇月〇日にお電話でご連絡いたしましたが、本日時点でご入金を確認できておりません。
・請求書番号:〇〇
・ご請求金額:〇〇円
・お支払期日:〇月〇日
つきましては、〇月〇日までに下記口座へお支払いくださいますようお願いいたします。期日までにお支払またはご連絡をいただけない場合は、弊社として法的な手続による請求を検討いたします。
振込先:〇〇銀行 〇〇支店 普通 〇〇〇〇 〇〇株式会社
本メールと行き違いでお支払いただいている場合は、ご容赦ください。
〇〇株式会社 〇〇部 〇〇
電話:〇〇 メール:〇〇
04件名はどう書く?
経理の担当者は、毎日たくさんの請求メールを受け取っています。件名だけで「どの会社の、どの支払の話か」がわかるようにします。
○わかりやすい件名
【再送】〇月〇日お支払期日分のご入金について(〇〇株式会社)✕わかりにくい件名
お支払いのお願い- 支払期日や請求書番号を入れる
- 最後に自社の名前を入れる
- 2回目は【再送】、3回目は【重要】のように、回数がわかるようにする
05書いてはいけないこと
お金を払ってほしいと伝えること自体は、正当なことです。ただし、書き方によっては法律の問題になることがあります。
○事実と、してほしいことを書く
「〇月〇日までにお支払いください。期日までにお支払またはご連絡をいただけない場合は、法的な手続による請求を検討いたします。」✕相手をおどす・さらす
「払わないならどうなっても知りませんよ」「取引先全員に、御社が払わないことを知らせます」- 相手をおどす言葉:命・体・自由・名誉・財産に害を加えると伝えておどすと、脅迫罪になるおそれがあります(刑法222条)。おどしてお金を払わせると、恐喝罪が問題になることもあります(刑法249条)。
- 未払いをほかの人に知らせる:SNSに書く、ほかの取引先に伝えるなどして、多くの人に相手の評判を下げる事実を示すと、名誉毀損罪になるおそれがあります。書いた内容が本当かどうかは関係ありません(刑法230条1項)。
- 夜中や早朝の連絡、何度も続けての連絡:お金を貸す業者(貸金業者)の取立てには、不適当な時間帯の電話や訪問を禁止するルールがあります(貸金業法21条1項)。【要確認:この規定は貸金業を営む者などによる貸付けの契約に基づく債権の取立てを対象としており、一般の売掛金の催促には直接適用されないと理解している。事業者間の催促で連絡の時間帯や頻度を直接規制する法令の有無を確認できなかったため】取引を続けるためにも、営業時間内に、間をあけて連絡しましょう。
06返事がないときは?
メールと電話で連絡しても返事がない場合、次に考えられる方法には、内容証明郵便、支払督促、少額訴訟、通常訴訟があります。
内容証明郵便は、「いつ、どんな内容の手紙を、誰から誰に送ったか」を日本郵便が証明してくれるサービスです[1]。メールと違い、送った手紙の内容と日付を、郵便局の証明で残せます。
07よくある質問
支払期日から何日たったら、催促してもいいですか?
催促を始める時期について、法律で決まった日数はありません。支払期日が決まっている場合、相手はその日を過ぎた時から支払が遅れている状態になります(民法412条1項)。まずは自社の入金確認を済ませてから、1回目の確認メールを送りましょう。
メールで催促すれば、時効は止まりますか?
支払を求めること(催告)をすると、その時から6か月間は時効が完成しません。ただし、その6か月の間にもう一度催促しても、期間は延びません(民法150条)。
【要確認:電子メールによる支払の請求が民法150条の「催告」に当たるか、また相手に届いたことをどう証明するか。条文は催告の方式を定めていないが、メールの扱いを示す一次資料を確認できなかったため】
時効の期間は、原則として、お金を請求できると知った時から5年、または請求できる時から10年です(民法166条1項)。時効が近い場合は、早めに専門家に相談してください。
相手から「分割で払いたい」「もう少し待って」と返事が来ました。
相手が支払うべきお金があると認めた場合(法律では「承認」といいます)、時効はその時から新しく数え直しになります(民法152条1項)。【要確認:「支払を待ってほしい」「分割で払いたい」といった相手からのメールの返信が承認に当たるかは、文面によって判断が分かれると考えられるため】
また、話し合いをすることを書面やメールなどの記録で合意すると、一定の期間、時効が完成しなくなるしくみもあります(民法151条1項・4項)。分割払いなどの約束をするときは、内容を書面に残す方法も含めて、弁護士等の専門家に相談してください。
電話とメール、どちらで催促するのがよいですか?
1回目はメールで送ると、請求書番号や金額を正確に伝えられ、送った記録も残ります。返事がない場合は、電話もあわせて使うと、メールが届いていないことに気づける場合があります。
まとめ
- 催促する前に、請求書が届いているかと、自社の入金の見落としがないかを確認します。
- メールは、確認のお願い → 支払予定日の確認 → 期限の連絡、の順で送ります。
- 相手をおどす言葉や、未払いをほかの人に知らせる書き方はしません。
出典一覧
- 日本郵便「内容証明」
https://www.post.japanpost.jp/service/fuka_service/syomei/ (2026年10月2日確認) - e-Gov法令検索:民法(明治29年法律第89号)150条・151条・152条・166条・412条/刑法(明治40年法律第45号)222条・230条・249条/貸金業法(昭和58年法律第32号)21条
https://laws.e-gov.go.jp/ (2026年10月2日確認)