PATTERN Bサンプル記事:図解重視
最終確認日:2026.10.02(本文の法令・裁判所資料と照合した日)
この記事でわかること
- 内容証明郵便・支払督促・少額訴訟・通常訴訟の違い(1枚の図で比較)
- 各手続の流れと、守る必要がある期間
- 裁判所に納める手数料の目安(2026年5月21日以降の制度)
- 手段を検討するときに確認しておく事情
メールや電話で催促しても支払われない場合に検討される手段として、内容証明郵便、支払督促、少額訴訟、通常訴訟があります。この記事では、4つの手段の違いを図と表で整理します。どの手段が適しているかは事案ごとに異なるため、記事では選ぶ際に確認する事情を挙げるにとどめます。
014つの手段を1枚で比べる
- 請求額の上限
- ○なし
- 裁判所への出頭
- ○不要
- 相手が争ったら
- ✕手続の続きはない
- 強制執行に使える文書
- ✕得られない
- 請求額の上限
- ○条文上なし
- 裁判所への出頭
- ○原則不要(書類審査)
- 相手が争ったら
- △訴訟に移る
- 強制執行に使える文書
- ○仮執行宣言付支払督促
- 請求額の上限
- △60万円以下
- 裁判所への出頭
- △必要(原則1回)
- 相手が争ったら
- △通常の手続に移る/判決に異議
- 強制執行に使える文書
- ○判決・和解調書など
- 請求額の上限
- ○なし
- 裁判所への出頭
- △必要(複数回が多い)
- 相手が争ったら
- ○審理で決着
- 強制執行に使える文書
- ○判決・和解調書など
02内容証明郵便
日本郵便が「いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたか」を証明するサービスです。証明されるのは文書が存在したことで、内容が真実であることではありません[1]。
✕できないこと
- 相手に支払を強制する
- 猶予中にもう一度送って、猶予を延ばす(民法150条2項)
時効の完成猶予の期間(催告)
費用:郵便料金・一般書留料金に、内容証明の加算料金480円(2枚目以降は1枚ごとに290円増)[1]
03支払督促
簡易裁判所の裁判所書記官が、書類の審査だけで債務者に支払を命じる手続です[2]。条文に請求額の上限はなく(民事訴訟法382条)、申立先は債務者の住所地などを管轄する簡易裁判所です(同法383条)。
04少額訴訟
60万円以下の金銭の支払を求める訴えについて、原則として1回の審理で解決を図る、簡易裁判所の手続です(民事訴訟法368条1項)。同じ簡易裁判所での利用は1人につき年10回までです[3]。
○特徴
- 特別の事情がなければ、最初の期日で審理を終える(同法370条1項)
- 判決言渡しから3年以内の分割払い・支払猶予の判決がありうる(同法375条1項)
✕制限
- 証拠は、その場ですぐ調べられるものだけ(同法371条)
- 反訴はできない(同法369条)
- 判決への控訴はできない(同法377条)
05通常訴訟
法廷で審理を行い、判決によって解決を図る手続です。請求額に上限はなく、相手が請求の内容を争っている場合にも使われます。2026年5月21日以降は、mintsによるオンライン提出もできます[3]。
請求額(訴訟の目的の価額)と裁判所
簡易裁判所の裁判権:裁判所法33条1項1号(e-Gov)。140万円を超える場合は地方裁判所:裁判所「簡易裁判所の民事事件Q&A」[4]。図の長さは目安で、正確な比率ではありません。
【要確認:訴額の算定で、遅延損害金などの附帯請求をどう扱うかの説明を加えるべきか。一般向けの記事でどこまで書くかの判断を仰ぎたいため】
06手数料と期間を比べる
支払督促の手数料は、訴えを提起する場合の手数料の2分の1に、定額(書面2,700円、電子2,500円)を加えた額です(民事訴訟費用等に関する法律 別表第一 11の項)。督促異議で訴訟に移った場合は、訴え提起の手数料との差額を追加で納めます[5]。
| 内容証明郵便 | 支払督促 | 少額訴訟 | 通常訴訟 | |
|---|---|---|---|---|
| 時効への効果 | △6か月の完成猶予 | ○完成猶予・確定で更新 | ○完成猶予・確定で更新 | ○完成猶予・確定で更新 |
| 相手の所在が不明 | ✕届かない | ✕使えない | ✕通常の手続に移る | △公示送達の手続による |
| 守る期間 | 猶予は6か月 | 異議2週間・申立て30日 | 異議2週間 | 判決への控訴期間など |
07検討するときに確認する事情
どの手段が適しているかは、個々の事情によって変わります。次の表は、手段を検討する前に整理しておく事情と、それが各手続のどこに関係するかを示したものです。
| 確認する事情 | 関係する手続の仕組み |
|---|---|
| 相手が請求の内容を争いそうか | 支払督促は督促異議で、少額訴訟は被告の申述で、通常の訴訟に移る可能性があります。 |
| 相手の住所がわかっているか | 支払督促と少額訴訟は、公示送達が必要な場合に使えない、または通常の手続に移ります。 |
| 請求額はいくらか | 60万円以下なら少額訴訟の対象。140万円を超えると地方裁判所になります。 |
| 証拠がそろっているか | 少額訴訟では、すぐに取り調べられる証拠に限られます。 |
| 時効の完成が近いか | 内容証明郵便による催告の猶予は6か月で、繰り返しても延びません。 |
どの手続で強制執行に使える文書を得ても、実際に回収できるかは相手の財産の状況によります。
08よくある誤解
誤解内容証明を送り続ければ時効は止まる
実際催告による猶予は6か月。猶予中の再度の催告に効力はありません(民法150条2項)。
誤解少額訴訟は必ず1回で終わる
実際被告は通常の手続への移行を求められ、判決に異議も申し立てられます(民事訴訟法373条・378条)。
誤解支払督促は放っておけば強制執行できる
実際30日以内に仮執行宣言の申立てをしないと、支払督促は効力を失います(民事訴訟法392条)。
誤解判決を取れば必ず回収できる
実際回収できるかは、相手の財産の有無と、その財産を特定できるかによります。
出典一覧
- 日本郵便「内容証明」
https://www.post.japanpost.jp/service/fuka_service/syomei/ (2026年10月2日確認) - 裁判所「支払督促」
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_22/index.html (2026年10月2日確認) - 裁判所「少額訴訟」
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_02/index.html (2026年10月2日確認) - 裁判所「簡易裁判所の民事事件Q&A」
https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_kansai/index.html (2026年10月2日確認) - 裁判所「手数料額早見表」(PDF)
https://www.courts.go.jp/assets/tesuuryo_hayami.pdf (2026年10月2日確認) - e-Gov法令検索:民事訴訟法(平成8年法律第109号)110条・368条〜371条・373条・375条・377条〜380条・382条・383条・391条・392条・395条/民法(明治29年法律第89号)147条・150条/裁判所法(昭和22年法律第59号)33条/民事訴訟費用等に関する法律(昭和46年法律第40号)別表第一
https://laws.e-gov.go.jp/ (2026年10月2日確認)